6月12日は「児童労働反対世界デー」。それに関連し「JICA地球ひろば」主催で6月2日、NPO法人ACE(エース)の取り組みを紹介するオンラインセミナーが行われました。テーマは『チョコレートから考える児童労働』。世界の子どもの10人に1人が児童労働を強いられている現実があり、とくに西アフリカのカカオ生産地域では、子どもたちは今もなお学校に通えず働く日々を送っています。児童労働をなくすため、日本にいる私たちにできることはどんなことでしょうか。当日は大学生を中心に、小学生から大人まで160人以上が参加。その内容についてレポートします。

 

児童労働をなくすため、インドやガーナの生産地で活動を始め25年

「遊ぶ、学ぶ、笑う。そんなあたりまえを、世界の子どもたちに。」をスローガンに児童労働をなくす活動に取り組んでいるNGO「NPO法人ACE」。1997年に創設以降、インドのコットン生産地やガーナのカカオ生産地で子どもの教育や貧困家庭の自立支援を続け、企業との協働や消費者への啓発活動、国際社会や政府への政策提言も行なっています。

 

この日登壇したのはACEで広報を担当する青井彩乃さん。「2020年の時点で約1億6千万人が児童労働をしており、コロナ禍による貧困などにより、今後は2億人を超える可能性も指摘されています」と解説します。

 

チョコレートから考える児童労働【JICA地球ひろば×NPO法人ACE】オンラインイベントレポート
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ZOOMを使用した本セミナーでは、「世界・とくにカカオ生産地の児童労働の現状」「日本にも児童労働があること」「児童労働をなくすためにできること」と3つを柱に解説し、現地映像やクイズを交えながら進めて行きました。

 

カカオ生産地での危険・有害な労働は子どもの発育にも影響

チョコレートの原材料であるカカオ。日本が輸入するカカオの約8割はガーナ産ですが、世界一の生産国はコートジボワールであり、その他ガーナやナイジェリアといった西アフリカが世界のカカオ生産高の約7割を占めています。しかし生産地と消費地は一致しておらず、生産地の人たちは自分たちが作っているカカオ豆がチョコレートになったことを見ることも食べていることも知らない状況です。

 

チョコレートから考える児童労働【JICA地球ひろば×NPO法人ACE】オンラインイベントレポート
©ACE

ガーナのある村では朝5時に子どもたちが起きて1日分の飲み水を井戸に汲みに行くのが日課。その後学校に通う子もいますが、机や椅子が足りないたため満足に授業を受けられる環境ではなく、さらに教科書や制服、文房具も各自負担。払いきれず通学を断念したり、働いて家計を担ったりしている子どもも多いそう。

 

カカオ農園で働くゴッドフレッドさんは父が亡くなったことを機に、家計を支えるため9歳で従事しました。早朝から農園に行き、ナタで薪を割ったり、ひとかご20㎏ものカカオを運んだり。頭、首、背中など全身に負担がかかりますが、兄弟たちの学用品を稼ぐために他に選択肢がなく、いくつもの農園の仕事をかけもちして働いていたそう。

 

こうした危険・有害労働に携わる子どもたちは先に挙げた1億6千万人のうち、7900万人にものぼります。ナタを使っての薪割り、農薬散布、高所作業など危険を伴う業務が多いカカオ農園ではとくに、幼少期からの過酷な肉体労働により発育や心身に大きな影響を及ぼす可能性があることも問題のひとつです。

 

チョコレートから考える児童労働【JICA地球ひろば×NPO法人ACE】オンラインイベントレポート
©ACE

ACEではインド・ガーナの自治体への働きかけや教科書の寄付、親たちの意識改革といった地道な活動を続けており、これまでに2360人の子どもたちを児童労働から解放、約13500人の教育環境を改善してきたそう。

 

児童労働が起こってしまう原因として、ACEは「十分な教育を受けられないため、大人になっても収入向上の手段がない。児童労働と貧困のサイクルを断ち切ることが必要。子どもを守ることは未来の大人も守ることにつながります」と話します。

 

とくにカカオ農園の現状については、カカオを安く買いたい先進国や、安いものを求める消費者意識から、子どもの労働の上に成り立つビジネスになってしまっています」とも。

 

日本でも行なわれている児童労働

「児童労働」には国際条約で決められた明確な基準があり、15歳未満(義務教育中)の子どもが大人と同じような働きを行なうことを禁じています。法律に反した業務内容やケガや病気などを引き起す危険性のある業務も当てはまりますが、日本でも児童労働が存在しているのが現状。工事現場や夜間勤務、振り込め詐欺への加担、ブラックバイトと呼ばれる労働力搾取などに子どもたちが従事していることも多いそう。

私たちは微力だが無力ではない。児童労働をなくすためにできる3つの行動

こうした児童労働をなくすために、私たちに何ができるでしょうか。青井さんは「明日から変えられる3つの行動」として、①買い物、②応援、③共有 を挙げました。

 

①はフェアトレードや現地支援など、エシカル・サステナブルな取り組みを行なっている企業の商品を探して買うこと。森永製菓の「1チョコ for 1スマイル」や、ブラックサンダーで有名な有楽製菓の「スマイルカカオプロジェクト」があり、パッケージに記されたマークなどに注目することを提案します。

 

②は応援。ACEの活動資金の7割は寄付で成り立っていますが、資金が足りず取り組めていないことも多いそう。月1000円からの「子どもの権利サポーター」ほか、不用品の買取金額をそのまま寄付できるブックオフのサービス「キモチと。」などを通じて応援することも可能です。

 

③の共有は、ACEの取り組みをSNSでシェアしたり、教材やワークショップに活用したり。ひとりでも多くの人に活動の様子を知ってもらうことが大切だと青井さんはいいます。

 

チョコレートから考える児童労働【JICA地球ひろば×NPO法人ACE】オンラインイベントレポート
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終了間際には参加者から多くの質問が寄せられました。「コロナ禍の現地の様子」や「児童労働についての認知度を上げるためには」「ACEでインターンは募集しているか」など、とくに若い世代の関心の高さがうかがえました。中には「チョコレートが食べにくくなった」という声もあり、青井さんは「いつまでも安心してチョコレートが食べられるよう、企業の取り組みを応援していくことが大事。また消費者の私たちが積極的に情報を得ていくことも必要かもしれません」と話しました。

 

最後に「1人の100歩は大変かもしれないが、100人が1歩ずつ踏み出せば100歩になる。私たちは微力ですが無力ではありません。子どもや若者が自らの意志で人生や社会を築くことができる世界にしていきましょう」と結びました。

 

東京・市ヶ谷にある「JICA地球ひろば」では2022/6/25(土)まで、写真やパネル、映像による特別展示を実施中。児童労働の撤廃や予防に尽力するACEの取り組みがより深く理解できるようになっています。

 

 

 

 

■JICA地球ひろば

https://www.jica.go.jp/hiroba/index.html

 

■NPO法人ACE

https://acejapan.org/

 

■JICA地球ひろば「月間特別展示コーナー」

https://www.jica.go.jp/hiroba/information/exhibition/monthly/index.html