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「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理

渋谷、センター街の外れにある雑居ビルの4階。狭いエレベーターを降り、恐る恐る扉を開けると、中はおしゃれな若い女性達で溢れていた。そして漂ってくるのは、えもいわれぬ芳醇でスパイシーな香り……カレーだ!「間借りカレー」の先駆けとして世の話題を集めた「ケニックカレー」が満を持し、2020年の春に店舗をオープン。その後はコロナ禍で休業を余儀なくされたりもしたが、人気は変わらず、カレーはさらに進化を続けている。そんなケニックカレーが、今回APeCAとカカオ料理でコラボレーション。店主のケニックさんに、カカオの魅力について話を伺った。

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理
ファッション&デザイン畑からカレーの世界へ

子供の頃から料理好き、カレーも昔から大好きだったというケニックさん。大学卒業後は服飾専門学校に通い、当時自分が住んでいた家へ遊びに来る友人たちに時々振る舞っていたのがカレーだった。ケニックさんの作るカレーは評判が良く、どんどん増えるファッションやデザイン関係の友人知人に声をかけられ、ショーに持参したり、イベントに出店したりしているうちに、知る人ぞ知る噂のカレーになっていった。その後、ケニックさんはプロダクトレーベル『kanvas』を立ち上げ、デザイナーとして活動。例えばiphoneケースなど、自身がプラットフォーム的なベースを作り、周りにいた気鋭のクリエイター達にイラストやデザインを施してもらうといった、多様なオリジナル商品を開発していた。しかし数年続けるうちに疑問が湧いてきた。

「ある時ネタ切れしちゃったんです。そこで友人に相談したところ、『それじゃあスケートボードをデザインしてみたら』と言われてハッとしました。自分はスケボーをやらないんですが、それで果たしていいものを作れるのか?と。そこで自分の心と正直に向き合って、自身のルーツを辿り、本気でやりたいことを考え抜いた結果、出てきた答えが食の分野であり、カレーだったんです」

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理
店内はケニックさんが好きだというオレンジ色がアクセントになっている

その後はポップアップイベントなどを経て、縁のあるバーの昼間の時間を間借りさせてもらい、カレーの店をスタートさせた。はじめの頃は全然人が来なかったそうだが、コツコツとSNSで投稿。すると感度の高いクリエイティブ系の友人たちから繋がり、次第にファッションモデルや女優などに注目され、SNSや口コミで人気が広がっていったという。今ではブームにもなっている「間借りカレー」の先駆けだった。

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理
お店で使うお皿もケニックさんがお願いして作ってもらったオリジナルのもの
アマゾンカカオとの驚きの出会い

ケニックさんの作るカレーは、一見斬新でアイデアにあふれたサプライズ感があるが、食べるとホッと安心するような、不思議な常習性がある。キーマカレーと魯肉飯を一皿に盛ってしまったり、パクチーやチーズがこれでもかと乗っていたり。絶妙なスパイス使いによる複雑な旨味から感じるプロの繊細さと、お母さんが栄養を考えて具を多めに入れちゃった、みたいな優しい気遣いのようなものが同居しているのだ。ただ純粋に友人達の喜ぶ顔が見たくて作っていた家カレーを原点に精度を高めていった、ケニックさんらしいカレーなのかもしれない。

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理

カレーの話が長くなってしまったが、そんなケニックさんが初めてカカオと衝撃的な出会いを果たしたのは、アマゾン料理人との異名を持つ、太田哲雄シェフがきっかけだった。

「もう4年くらい前ですかね、とあるホームパーティーに太田さんも同席していて、アマゾンのカカオマス(※)をもらったんです。それを持ち帰り、また別の飲み会に持参して、そこにいた10人くらいのメンバーで深夜に試しにカカオを舐めてみたら、みんな驚くほど覚醒してしまって。本当だったらこんな時間ヘロヘロの酔っ払いなんですけど、酔いも覚めて眠気も飛んで、すっかり元気になったんですよ。それでカカオって面白いなぁと思ったのが最初です」

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理
ゴロッとした岩のようなカカオマスの塊
どこにもないユニークなメニューはカカオ餃子?!
「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理

ケニックさんの周りには料理上手な友達はもちろん、プロの料理人も多い。多様な交流の中で、お互いに情報交換したり、アイデアの刺激を受けたりすることはしょっちゅうだという。ケニックさんのスマートフォンには、彼らと一緒に料理をしたり食べ歩いたりした、美味しそうな食べ物写真が無数に納められており、そんな日々の経験と記憶の蓄積が、ある日突然インスピレーションの源となるようだ。

「レシピはいつもひらめきで、ふとした瞬間に降りてくるんです。ただ、そこにたどり着くまでがなかなか長かったりするんですが」とケニックさん。簡単にひらめきといっても、長年の思考の熟成から生まれているのである。

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理

今回新たに作っていただいたカカオ料理も、友人宅で食べたカレーがアイデアのヒントになっているそう。

「シェフをしている友人の家で、そのお父さんが作ってくれたマレーシアのカレーが印象的で。ココナッツベースに、揚げた茹で卵をずっと煮込んで行くようなちょっと変わったカレーでした。これがめっちゃ美味しかったんです。そこからアイデアを膨らませて、卵を餃子に見立て、カカオをかけたらユニークで面白い味になりました」

果たしてそのカカオ料理とは、スープの中に餃子が浮かぶように並んでいる、一見不思議なビジュアル。ソース部分の素材はココナッツミルクとカレー粉と塩。スパイスにアニスシードを効かせている。仕上げにアマゾンのカカオマスをおろし金で削って振りかける。マレーシアに始まり中国、インド、アマゾンなどなど…異国の様々な要素が混ざり合い、まるでアジアの奥地や、東欧のような雰囲気も醸し出している、空想の国の料理のような印象だった。

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理
揚げた茹で卵が入っているというマレーシアのカレー

カカオは割と味の濃いものに合わせると、程よく中和しながら、奥行きを出してくれる、とケニックさん。ケニックカレーのメニューにカカオを使うとしたら、炙ったチーズや、ジビエのソーセージの上に、削ったカカオマスを振りかけることで、カカオの苦味がいいアクセントになって、複雑味を増してくれるという。主力で使うというより、最後にインパクトある仕上げとして使うのが良いのでは、とのこと。

「カカオはナチュラルでパワーがあって元気になるし、甘くも苦くもできて、アクセントとして存在感もある。本当にすごく面白い素材だと思っています。今はカカオマスを削ってかけているくらいで、自分はまだまだ使いこなせていないけれど、大いに開拓の余地があります。以前太田さんに教わったもので、茹でた鳥肉にカカオソースをかける、メキシコのモレソースみたいな料理があったんですけど、自分も溶かしたカカオをカレーソースに使うとか、これからもっと探求してみたいと思っています」

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理
昔のゲームとコラボレーションしたオリジナルTシャツ

最近は忙し過ぎて、なかなかカレーの開発に時間が取れなかったそうだが、自分はまだまだ、常にもっと美味しいカレーを作りたい、という気持ちをストイックに持ち続けているとケニックさんは言う。そして以前のデザイナー手腕も再び発揮し、オリジナルのTシャツやパーカーを作るなど、今度はカレーからアイデアを膨らませたアパレルやプロダクトにも力を入れている。新しい事業も考案中だそうで、組織を整え、カレーの精度もさらに上げていきたい、と熱心に話してくれた。ケニックカレーの魅力はなんだろうと問うと「自分の周りにいる人たちが一番のスパイスだから」と笑いながら答えていたケニックさん。気さくで人懐っこい人柄のケニックさんならではの、ユニークな友人達に囲まれて、まだまだ進化は続きそうだ。

 

「ケニックカレー」×「APeCA」がコラボ。カカオとカレーが融合したどこにもない料理

文=江澤香織

写真=深町レミ

 

※カカオマス:カカオ豆を発酵・焙煎・磨砕し、液体状になったものを冷却して固めたもの。チョコレートの原料となる。

 

【メニュー情報】

パシフィック餃子

500円(税込) 

10/1より発売

 

今回はAPeCA読者に特別に、おうちでカカオ餃子を再現できちゃうレシピを教えていただきました!

【カカオ餃子の作り方】

<材料>

水餃子(冷凍でも良い)1袋分

ココナッツミルク1缶(400cc)

カレー粉小さじ1好みで追加

塩小さじ1

アニスシード小さじ1(あれば)

サラダ油大さじ2

カカオマス(カカオ100%無糖のチョコレートでも代用可)適量

 

<行程>

1.水餃子を茹でる

2.アニスシードを入れた小鍋にサラダ油を入れ、熱する。

3.アニスの甘い香りがしてきたらココナッツミルクを投入。

4.カレー粉と塩を投入して煮る。

5.皿に1を盛り付け、上から4をかける。

6.カカオマスを好きなだけ削る。

完成!

 

【Profile】

ケニックカレー

東京都渋谷区宇田川町13−9 2ビル4F KN渋谷1ビル

03-6884-2188

Instagram  https://www.instagram.com/kenickcurry/