新丸ビルが好きだ。

 

煌びやかさと落ち着きを兼ね備えた館内の色遣い、パリのパサージュを彷彿とさせる一階のアーケード。お店全体がショーケースのように美しいサンタ・マリア・ノヴェッラ、更に奥には、今回のチョコ散歩の行き先に選んだ、ショコラティエ パレドオールが見える。

 

文:カデカワミズキ

写真:チダコウイチ

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

店内に入ると、ボンボンショコラ、タブレットにケーキがずらりと並ぶショーケースに迎えられる。どれも美味しそうに輝いて、まあ、魅惑的だこと! しかし、お目当てのスイーツはここにはない。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

今回のお目当ては、いや、素直にいうと、私がこの新丸ビル店に来るときの目当ての大半は「季節のパフェ」なのだ。その名に冠している通りショコラティエ(チョコレート専門店)であるが、パレドオールのパフェは独創性と美味しさの両方を兼ね備えていて、わざわざ食べに来る価値がある。

 

この日のパフェは「パフェ パレドオール プランタン」。プランタンは、フランス語で「春」を意味する言葉だ。春の食材として人気のイチゴを使用したパフェだが、イチゴ盛り沢山のパフェに仕上げるのではなく、アイスやクリーム、トッピングと各所で自家製のチョコレートを使用しているところがショコラティエらしい。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

今回のパフェを特徴づけるのが、トップにドンと乗せられた、いちごとピスタチオのパリブレスト。さらにその上には「カカオが香るバニラアイスクリーム」が座している。

 

パレドオールのパフェは、パーツが多い。食べ手が「これって何だろう?」と気になる気持ちを見越してか、席には事前にパフェの各パーツを説明したカードが置かれる。とても親切だ。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」
パフェが変わるたびに作られるカードには、各パーツについての説明が書いてある。

さて、いただきます。

 

まず、一番上のアイスクリームが美味しい。とても滑らかだ。説明を見るにベースはバニラアイスのようだが、チョコレートの風味を強く感じる。問題は大きなパリブレスト。これはどう食べようかと一瞬迷ったが、取り分けのお皿が用意されていることに気がついた。なるほど。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

うむ。これでよし。パフェを注文したらパリブレストが丸々1個食べられて、なんだかお得な気分になった。ピスタチオの風味は控えめで、あくまでイチゴが主役のパフェであることがよく分かる。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

黙々と食べ進める。お仕事なので感想を手元のiPadに控えるものの、目の前のパフェに集中するあまり、メモがなかなか捗らない。

 

そうこうしているうちに、完食。パレドオールのパフェはいつもボリュームがある。今回のパフェは特にパリブレストがあったので、尚更お腹いっぱいだ。

 

糖衣したピスタチオやフリーズドライのイチゴで食感を出しているところや、一つのパーツに食べ飽きそうになる手前で構成を変えてくるところなど、さすがパフェを作り続けているだけある上手い構成だった。自家製のチョコから感じられる酸味がまた、イチゴの風味とマッチするのだろう。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

今回はパフェを紹介させてもらったが、パレドオールが初めての方には、ぜひ定番のボンボンショコラ「パレドオール」も試してみてほしい。

 

店名にもなっているこの語は「金の円盤」を意味する。このボンボンショコラは、パレドオールのショコラティエ三枝俊介シェフが、このブランドを始める前に師事していたパリの有名ショコラティエであるベルナシオンの故・モーリス・ベルナション氏のスペシャリテでもある。自身の師匠のスペシャリテを受け継ぎながら、自家製のチョコレートによって自分自身の味わいを作られている。

 

さて、そろそろ、次の店へと移ろう。次へ、といっても、そう遠い場所ではない。お店は東京駅構内、グランスタ東京にある。2020年8月にオープンした、カカオハンターの肩書きを持つ小方真弓さんのブランド「カカオハンター」の実店舗、「カカオハンターズプラス」だ。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

こちらの店舗では、数種類のチョコレートドリンクの他、ジェラートをイートイン・テイクアウトできる。またブランドのタブレットも種類が揃っている。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」
どのタブレットも個性があって美味しい。小さめのサイズで買いやすく、おすすめできる品である。

面白いなと思ったのが、店内のインテリアである。カカオの葉が展示されていたり、壁にさまざまな形のカカオが描かれていたり。小さなカカオの博物館のようだ。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

この日はジェラートから定番の「アルアコ」、それから新作として並んでいた「フルーツショコラ」を注文した。アルアコは、カカオハンターのタブレットとしても定番のチョコレートで、コロンビア北部で先住民族のアルアコ族の方々が栽培したカカオから作られている、フルーティなチョコレートだ。ジェラートは黒糖のようなミネラルの風味をもった甘さがありつつ、かなりあっさりとした仕上がり。一般的なチョコレートアイスをイメージして食べると、その違いに驚くことだろう。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」
写真の右に写っている、ドライフルーツが乗ったジェラートが「フルーツショコラ」だ

「フルーツショコラ」には、ドライフルーツがごろっと入っている。クリスマスの時期に食べるシュトーレンのようなジェラートだった。率直に述べさせてもらうと、テクスチャにバラつきがあるのが気になった。ジェラートは簡単なように見えて、美味しく作るのがとても難しいスイーツだ。いい素材を使っているので、今後の改善に期待したい。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」
ジェラートのダブルはイートインなら605円、テイクアウトなら594円

次のお店に行く前に、東京駅構内で、ちょっと寄り道。さまざまなイタリア食材を揃えるフードショップ&レストランのイータリーだ。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

以前にもアペカでも紹介したが、こちらのお店では様々なイタリアのチョコレートが並んでいる。ビーントゥバーの世界的な先駆けとも言えるDOMORI(ドモーリ)のチョコレートや、伝統的な製法で作られるシチリアのモディカチョコレート、イタリアといえば、なジャンドゥーヤなどが購入できる。

 

さあ、外に出て、少し銀座方面に歩いて行こう。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

今回の最後の行き先は、銀座の和光アネックスのケーキ&チョコレートショップだ。1階がショップ、2階がサロン(喫茶)になっている。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

筆者は一度しかこの和光アネックスでチョコレートを購入したことがないが、それでも強く印象に残っていた。唯一無二の味わいに、圧倒的で安心感のある、揺らがない美味しさ。今回のチョコレート散歩に選んだのは、その感動があったからだった。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

どのチョコレートも、輝いていた。ボンボンショコラがずらりと並ぶショーケースを前にして、どれにしようかと悩んでいる時ほど幸せな時間はそうないとさえ思う。ああ、なんて美しいチョコレートたち。

 

ボンボンショコラをひとつひとつ注文していくと、チョコレートの隣に、ボンボンショコラではない何者かが見えた。こちらも、すごく美味しそうなオーラを放っているではないか。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

シロップ漬けの栗をビターチョコレートでコーティングした「マロンショコラ」だった。よし、買ってみよう。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

ショーケース上のライトを「変わったデザインだなあ」と見ていると、カメラマンをしてくれているチダさんが、あ、このブランドのライト、うちにもあるよ、と言って驚いていた。カナダのBOCCI(ボッチ)というブランドらしい。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

チョコレート散歩だし、ちょっと店先でチョコ、食べちゃうか。二人とも気になって購入した「マロンショコラ」を開けてみることにした。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」

おおっ、ツヤツヤ。そして大きい。シロップ漬けの栗、という説明から予想していた甘さはほぼなく、栗の風味が地味深く感じられる。日本らしさのある洋菓子。すごい、すごいぞ和光。

 

チョコレート散歩その②「新丸ビル、東京駅、銀座」
チョコレートを前に、思わず頬をほころばせる筆者。

以前にも和光のチョコレートを食べて感じられた「唯一無二の美味しさ」だった。お家に帰っていただいたボンボンショコラも、思い出を裏切らない美味しさで、嬉しかった。プレーンな味わいも、フレーバーも、全てが均一に高クオリティなのだ。チョコレートショップとしてはまだまだ知られていない和光のチョコレート、銀座に出向く際にはぜひ試してみてほしい。

 

さて、本日のチョコレート散歩はここまで。次はどこに行こうかな。



 

〈関連記事〉

▶ チョコレート散歩その①「晴れた日の日本橋で」

 

 

文・カデカワミズキ

チョコレートおたくのフリーライター。子どもの頃はチョコ嫌いだったが、ハイカカオが世に出てからはチョコ好きに。クラフトから大手まで、幅広くチョコを愛しています。現在は都内大学で哲学を専攻。「食べる」という行為を考えていきたい。

twitter:@mizuki1010uk