厳しくも豊かな北海道では、こだわりを持った農家さんも数多い。その中にあって、北海道・美瑛町に移住した料理家のたかはしよしこさんが信頼を寄せるのが、旭川にあるオーガニックハーブ農家「Lienfarm (リアンファーム)」だ。よしこさんナビゲートのもと、旭川にあるオーガニックファームを訪ねた。

 

文・本間裕子

写真・チダコウイチ

大地と繋がりを感じられるモノづくりを
大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

北海道・美瑛町に移住した料理家のたかはしよしこさんが、「素晴らしい生産者」と太鼓判を押すのが、旭川にあるオーガニックハーブ農家「Lienfarm (リアンファーム)」だ。友人宅に招かれた際に「リアンファーム」のハーブティーに出会い、そのブレンドの巧みさに感動したのだという。現在はよしこさんの料理やオリジナル調味料にもそのハーブが使われるなど、なくてはならない存在だ。

 

「リアンファーム」を運営するのは、オーガニックハーブに負けないほどにパワフルな一人の女性、石田佳奈子さん。12年間のフランス農業修行を経て日本に帰国し、故郷である旭川の地でフランスのハーブ農家と提携し、オリジナルのハーブプロダクトを自社で製造販売している。Lien(リアン)とはフランス語で「繋がり」の意味し、「植物からの恩恵を実感していただくことで、現代人に大地との繋がりを思い出してほしい」という想いが込められている。

 

大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

石田さんがオーガニックハーブ農家を志すようになったのは、学生時代のオーストラリア滞在がきっかけ。お手伝いさせてもらった農家で、オーガニック野菜やハーブを取り入れた生活に魅了されたのがすべてのはじまりだった。「当時はまだオーガニックという概念が日本に浸透していなかった時代。まだ若かったこともあり、私も自分が消費するものには無頓着でしたが、そんな私でさえも良い環境で育つハーブや有機栽培で育てられた野菜に宿るパワーはダイレクトに感じとれたほど。とにかく何もかもが衝撃で生き方が大きく変わりました」と石田さんは振り返る。

大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

帰国後は大学で文化人類学を学びつつ、同時にアロマセラピストになるための勉強をスタート。英国IFA認定アロマセラピスト資格を取得し、今度は精油の製造に興味を持つようになった。セラピストとして仕事をしていた時に、「できれば自分で作った精油をトリートメントに使いたい」と思うようになり、アロマセラピーの本場フランスへ渡り、生産者の扉を叩いた。気になったことは徹底的に追求しないと気が済まない性分なのだという。

 

フランス語を学ぶところからスタートし、さらに農業を一から学ぶため仏国農業省認定農業学校ハーブ学科も卒業。その時の研修先の伝統的蒸留農家に弟子入りし、念願であった精油の製造を学び、北西フランスのブルターニュ地方の田舎で小さなハーブ農場をはじめる。2015年には「Lien」を立ち上げ、野生ラベンダー精油を日本で販売を開始するまでに至った。

愛情を注ぐほどに強くなる

慣れ親しんだ住んだフランスを離れ、北海道・旭川に戻ってきたのは2018年4月のこと。日照時間が長く、どこか南仏の気候に似ている部分がある旭川ならハーブを育てられるはずだという見込みでUターンを決意した。現在は一児の母となり、フランスで得た知識と経験を生かしながら、北海道産ハーブを作るために毎日奮闘している。「ハーブは、見た目に美しいし触っていても楽しくて畑の中にいるだけで癒やされるんです。毎日朝早くから畑に出て作業していられる現在は、もちろん大変ではありますが、それ以上に幸せですね。もう他の仕事はできないと思います」と石田さんは笑う。

大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

「リアンファーム」では、ハーブの酸化を防ぐため、粉砕せず生きたそのままの形で加工している。そのため、お湯を注ぐと、袋の中で眠っていたハーブが鮮やかに蘇る姿を楽しむことができる。「市販されているものの多くは粉砕されていますが、うちのハーブティーは、花や葉が丸ごとごろごろ入っていて、見た目も楽しいですし、何よりも味がいいんです」と石田さん。茎を一本一本取ったり花をひとつずつ摘んだりする作業は手間がかかるものの、まるで我が子の成長を話すかのように、すべての工程を愛おしそうに説明する姿が印象的だ。

大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

甘酸っぱさと森林の香りが混在する「あたため茶」は、エゾマツやよもぎ、生姜などがブレンドされ、すっきりとした味わいが特徴。飲んで数分が経つと、その名の通り指先まで温かくなるのが実感できる。免疫強化作用のあるエキナセアなどもブレンドされた「Immune」は、蜂蜜のような甘い香りが心と身体を芯から解しながらストレスケアも叶えてくれる。その他にも女性ホルモンのバランスをサポートする「つき」や、安眠サポートハーブティー「おやすみ」など、ストレスフルな毎日を生き抜く現代人に優しく寄り添うハーブティーをラインナップ。5月から10月頃にはフレッシュハーブティーも加わる。

 

大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

また、北海道産ハーブで精油の製造もスタート。精油を作るためにはシンプルな水蒸気蒸留法を採用している。「農薬も肥料も与えないで、その分愛情を注いて、最後は自然の力に委ねる。私がしていることはとてもシンプルで、ハーブの魂を抜き取って入れ替える、そんな作業だという気がするんです」。

 

大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

あらゆるものの原料がどこから来て、どうやって作られているのか。 生産現場やその背景はどうなっているのか。 一人でも多くの人が、食、農業、環境に興味を持って、きちんと作られたものを意識するようになってほしいというのが石田さんの切なる願い。熱い想いを内に秘め、今日も明日も石田さんは畑に立っている。

大地を癒すハーブ作りを目指す 北海道・旭川のオーガニック農家「Lienfarm」

 

 

 

Lienfarm(リアンファーム)

住所:北海道旭川市西神楽南16-355

HP:https://www.lienfarm

Instagram:@lienfarm

 

 

 

文・本間裕子

編集者・ライター。大学卒業後、(株)INFASパブリケーションズに入社。ファッション週刊紙「WWD JAPAN」、コレクションマガジン「FASHION NEWS」の編集を経て、美容週刊誌「WWD BEAUTY」に創刊時より携わる。退社後、フリーランスの編集・ライターとして、化粧品、食料品メーカーをメインクライアントに、ブランディング、広告制作等に携わる。甘いものは得意ではないが、カカオは大好きでコーヒー、赤ワイン、ラムに合わせて日常的に食している。料理家など食に携わる人たちとの交流が深い。

Instagram:@uozazaza