文:門前直子

写真:チダコウイチ

 

APeCAが昨春から“ART to EAT”を大きなテーマに連載しているコーナー、「Idea Pod」。「カカオ」をお題に、アーティストやミュージシャンなど、クリエイターたちに大喜利風に創作をしていただくコーナーです。「Idea Pod」vol.11で描いていただいた桂川桃子さんの作品にAPeCA代表のチダコウイチが惚れ込み、日本未上陸のショコラトリーのタブレットを3種詰め合わせたボックスのデザインに起用することに。今回は、桂川さん、チダを含め、桂川さんのお友達とともに座談会形式でこのタブレットセレクションBOXについてお話を伺いました。

 

> Idea Podvol.11こちら

座談会のメンバー紹介

まずは、桂川さんと彼女のお友達からなる今回の座談会のメンバーをご紹介します。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
座談会の会場は六本木の会員制バー「Bar&Lounge KANOA」。写真の壁画は桂川さんが手がけたもの。

桂川桃子 Momoko Katsuragawa/アーティスト

「色」をこよなく愛する画家。元ファッションデザイナーとしての経験と色彩感覚をいかした、ジャンルやテイストにとらわれない作風が特徴。壁画など迫力のある大型の作品が多い。ライブペインターとしても活動しており、イベントなどでライブペイントを精力的に行う。

Instagram:momoco12131

 

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

渡辺力 Riki Watanabe/JOKE.Inc.代表、インテリアデザイナー

表参道の「Bean to Bar Lounge by Dandelion Chocolate」が世界最大級の国際コンペティション「A’ Design Award & Competition 2020」でシルバー賞を受賞するなど、国内外で受賞歴多数。店舗に加え、学校や病院、NYのホテルなど、ジャンルや国を問わず、デザインする領域は多岐にわたる。

https://jokedesign.xyz/

Instagram:riki_joke.inc

 

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

深澤勇人 Hayato Fukazawa/lifeislive inc.代表

恵比寿の「東京おでんラブストーリー」「ライオンのいるサーカス」ほか、ユニークな飲食店を多数展開。インテリアデザインも手がけ、今回の座談会を開催した六本木の「Bar&Lounge KANOA」の内装も担当。

Instagram:hayatofukazawa

 

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

Maya/ヴァイオリニスト

5歳よりヴァイオリンを始める。国立音大附属小学校に入学し、高等部までヴァイオリン科に進み、その後イギリス留学を経て、クラシックの枠を超えた演奏家になることを決意。帰国後は「ヴァイオリンをもっと気軽に、身近に」をモットーに企業イベントなどで活動。

Instagram:maya_fiddle

 

チダコウイチ/APeCA代表

1999年に株式会社FLAVORとブランド furfurBalcony を設立し、30を超えるブランドのディレクションや立ち上げに携わる。その後、マッシュグループ取締役を経て、20177月に株式会社シソンを設立すると同時に、アイウェアブランド「Zoff(ゾフ)」のゼネラル・クリエイティブ・ディレクターを2年務める。2019年より現職に。本記事では写真も担当。

Instagram:chida_koichi

APeCA代表・チダが惚れ込んだ桂川さんのアート

チダ:はじめに、今回のタブレットセレクションBOXについてお話したいと思います。カカオの本質を知ってもらうにはタブレット、つまり板チョコレートがもっとも最適ですが、なかなか単体では手に取ってもらえません。普段タブレットを選ばない人や、そもそもチョコレートにあまり興味がない人にもタブレットを届けたいと考えて今回の商品を企画しました。

 

3種のタブレットの詰め合わせで、すべてbean to bar(原材料の仕入れから出荷までの工程をすべて一貫して手がけるスタイル)。食べたら廃棄してしまうような、ただチョコレートを収めるだけの箱ではなく、食べ終わった後も観賞用や小物入れなどとしてリユースしていただけるよう制作しました。お米を集めて紙に変換した素材や環境に優しいベジタブルインキを使用した、フードロスやSDGsにも配慮したパッケージといえます。チョコレートもパッケージも、これからの時代にリンクするようなものづくりの提案といえる商品ではないかと考えています。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
「APeCAタブレットセレクションBOX」¥6,480(税込)

そんな商品を彩るにあたって桂川さんにお願いした理由は、以前「Idea Pod」でお願いした際、作品に圧倒されたから。作品が上がってきた時に「うわあ、すごいな」と。海外のタブレットたちを包み込むようなパワーを感じたんですよね。日本のアーティストにパッケージをお願いするとデザインとしてかっこよくなりすぎちゃうことがあるんです。かっこよくなりすぎて逆に目立たなくなっちゃう。桂川さんの場合はタブレットを飲み込むくらいのパワフルなテンションがあって、瞬間的にこの作品をタブレットセレクションBOXのパッケージにしたい、と思いました。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
「APeCAタブレットセレクションBOX」のパッケージ
桂川さんがパッケージのアートに込めた思い

桂川さん:チダさんの言葉に感動しました。ありがとうございます。「Idea Pod」から始まって、セレクションBOXにまで使用していただけるようになり、本当に嬉しいです。チョコレートやカカオのことはまったく詳しくなかったので、テーマをいただいて描くために調べているうちにアイディアが湧いてきました。奴隷のような強制労働が存在してきた過去を経て、現在は少しずつ変わりつつありますよね。

 

今であれば、女の子が奴隷ではなく、ドレスを着てヒールをはいてカカオと触れ合うこともある、そんな状況を表現した絵です。カカオがカラフルなのも、調べてカカオにいろんな色があることを知ったから。それまで仕事として義務でカカオに触れていたかもしれない女の子が、きれいなもの、宝石を集めるようなイメージでカカオと向き合っている……。女の子とカカオの絵には、人間とカカオとの触れ合い方が明らかに変わってきたという事象へのオマージュが込められています。奴隷をはじめ、チョコレートとカカオには調べれば調べるほど酷い歴史が存在していたので、本当に驚きました。そこに対しては女の子の後ろにハートを描いて、愛あふれる社会になってほしいという思いを込めました。ベースカラーに明るいオレンジを選んだのは、元気がでるビタミンカラーを配してチョコレートを食べる前から元気になって欲しいと思ったからです。

 

チダ:労働問題は現在も続いているんですよね。

 

桂川さん:カカオに秘められた問題を知らない方も多いと思いますので、このBOXを通じて少しでもそういった事実に興味をもっていただきたいですね。このパッケージは一見、チョコレートが入っているようには見えないんじゃないかなと思いますが、そのほうがいいなと考えています。そのほうが手に取る機会が増えるように思いますし、チョコレートがチョコレートのパッケージらしくなきゃいけないって誰が決めたんだろう、って(笑)。開けた時の驚きって、パッケージと中身にギャップがあればあるほど生まれるはず。そういう意味で、プレゼントにもしやすいかなと。全体的に、とても満足できる仕上がりになりました。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

渡辺さん:僕もチョコレートに詳しくなくて、真剣に向き合っていろいろと調べだしだのは仕事でbean to barのショコラトリーに携わってからですね。少しずつ知るうち、カカオの種類や焙煎方法、作り手の個性などでこうも味が変わってくるんだなという驚きがありました。そういう部分はコーヒーと似ているかもしれないですね。カカオは奥深くて、おもしろくて、自分にとってはまだまだ未知の世界です。

 

Mayaさん:私もチョコレートは大好きなんですが、詳しい知識はまったくないです。でも、女性はみんな好きですよね。美容にもいいっていいますし、日持ちするので差し入れにもぴったりですし。今日はbean to barのチョコレートをテイスティングできるのが楽しみです。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

深澤さん:僕は飲食をやっていますが、最初にやっていたのがカフェ。カフェを始めたきっかけはコーヒーとワインにハマったこと。そこからカカオ豆にも通じるフェアトレードにも興味を持って。あと、若い頃旅に出た時にコートジボワールの子と知り合って。コートジボワールもカカオを作っていますよね。残念ながら実現しなかったのですが、その子とカカオで何かやろうと話していたこともありました。

 

チダ:アフリカではカカオがかなり採れますね。クオリティもなかなかいいんです。ただ、児童労働など働き方に問題がある。ちなみに今回のBOXに入っているタブレットはコロンビア、タンザニア、ペルー産です。

作り手によって驚くほど変わる、タブレットの味わい

チダ:それではタブレットを実際に試食していただきましょう。まずはコロンビア産の「バレーヌ カボス」。旅先のコロンビアでカカオの魅力に開眼したカップルが2017年にオープンした、フランス・マルセイユ唯一のbean to barショップです。ショップ名は「カカオ豆のクジラ」という意味。ふたりがつくるタブレットは権威あるCroqueurs de Chocolatガイド2020年版に選出されました。また、アラン・デュカスなど食の世界の重鎮15名により創立された優秀なレストランや作り手のみが加盟することができるCollège culinaire de Franceにも名を連ねています。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
「APeCAタブレットセレクションBOX」に入っている「バレーヌ カボス」のタブレット

渡辺さん:カカオは何%なんですか?

 

チダ:どれも70%以上です。この3つは添加物も入っていません。ちなみにバレーヌ カボスが76%、レガスト70%、ランスタンカカオが82%です。

 

桂川さん:意識して確認すると、チョコレートって実は添加物がたくさん入っているものが多いですよね。このチョコレートは口溶けがいいですね。あと、酸味も少しあるのかな。

 

Mayaさん:甘味だけでなく複雑な味がしますね。おいしい。あと、後味がさっぱりしていてずっと食べられそう。

 

渡辺さん:僕も複雑な味だなと思います。苦味、酸味、ほのかに心地よい甘味。それらが混ざり合って……結論、おいしいですね(笑)。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

チダ:それでは次のタブレット。ベルギーを拠点にしているペルー産の「レガスト」です。僕もベルギーに行って作り手にお会いしたことがあります。コロンビア出身でもともとチョコレートを作っていた奥さんと、ショコラトリーの家にうまれてコロンビアにカカオの研修旅行に行った旦那さんが出会ってうまれたショコラトリーなんです。生産地の農民と共同でサステナブルなカカオ豆を開発しており、フェアトレードはもちろんのこと、彼らの生活がより豊かになるように1年の半分は現地で指導にあたっているとか。権威あるアワードの受賞歴も多い。規模は小さいですが、ひとつひとつ丁寧にチョコレートを作っていますね。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
「APeCAタブレットセレクションBOX」に入っている「レガスト」のタブレット

桂川さん:今回のタブレットはパッケージがどれもおしゃれですね。ああ、これは赤ワインに合いそう。香りもすごくいいですね。

 

深澤さん:ちょっと粉っぽい印象。でも、好きですね。おいしい。苦味や深みもあって、料理みたいな感じ。食べる進めるうちにどんどん違う味がでてくるような……。先に食べた「バレーヌ カボス」よりも僕は好きですね。ところで、ハイカカオだと酸味も強くなりますよね。

 

チダ:これは70%ですが、これくらいだと食べやすいんです。85%以上になるとかなり食べにくくなりますね。もう薬に近いような存在になってしまう。

 

深澤さん:たしかに85%以上になると単体では食べにくいですよね。酸っぱいですし。……僕は食べちゃいますが(笑)。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

チダ:最後のタブレットをご紹介します。これは僕のいち押し、パリにある「ランスタンカカオ」。こちらのタブレットはタンザニア産です。作り手の男性は若くて、まだ28歳くらい。今フランスでいちばん注目されているショコラティエといっても過言ではないです。なるべくエネルギー使わないようにと、なんと一部の豆を産地からヨットで運んで持ってきている作り手。そうして毎年1カ国、カカオの生産国を訪れてオーガニックで上質な豆を適正な価格で仕入れたのち、チョコレートの成形にいたるまで全行程を自ら手作業で行っています。2019度のパリ市が選ぶ“6人のクリエイティブな職人”も受賞していますね。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
「APeCAタブレットセレクションBOX」に入っている「ランスタンカカオ」のタブレット

桂川さん:いちばん大人っぽい味、かっこいい味がします。噛めば噛むほど甘みが出てくる。

 

渡辺さん:僕、これがいちばん好きです。日本の出汁文化にも通じる、少しずつ味が出てくるような感じ。

 

チダ:食の世界って今、若手が革命を起こしているんです。「ランスタンカカオ」はまさにそれですね。パッケージも紙だけで、余計なものを使わないようにしている。そういうところにも力を入れているショコラトリーですね。

 

深澤さん:もろみ味噌の味がする。おいしいですね。

 

渡辺さん:どんどんいろんな味がしてくる。ぱーんとある味が広がって、収束して、違う味が出てくる。このフェードイン/フェイドアウトする感じがすごくおもしろいです。

 

深澤さん:料理にも使えそうですね。肉のソースとか。

 

桂川さん:赤身の肉にものすごく合いそう。

 

Mayaさん:本当に出汁のような、料理っぽい味がします。いちばん日本人に馴染みやすい味かなと思います。

 

渡辺さん:深みや奥行きを感じますよね。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
食べ比べによって見えるおもしろさ

チダ:皆さん、3種類食べ終わってどれがお好きでしたか?

 

渡辺さん:僕は断然「ランスタンカカオ」ですね。

 

桂川さん:私は「レガスト」かな。

 

渡辺さん:今回のボックスはキャラクターが違う3種類が入っているっていうのがいいですね。

 

桂川さん:確かに。味比べできるっておもしろいですね。板チョコ自体のデザインも素敵ですし。「ランスタンカカオ」は大小のサイズにチョコレートに割ることができますが、形状によって味や食感が違うような気がします。

 

深澤さん:このチョコレートにあらかじめ入っている割れ目、みんなで分け合うためっていう謂われだったらいいですね。ひとりで食べるんじゃなくて、“みんなで分かち合うもの”っていう意味。

 

全員:うんうん、そうですね。

 

渡辺さん:この3つのタブレット、人間だったらモテそうだな(笑)。個性のある3つのタブレットが桂川さんのパッケージに入っているって、包みこむようなイメージが最初にお話されていた愛あふれる社会というところにもリンクしていると思います。勝手な僕の印象ですが、描かれている女性は男性的にも見えますし、肌の色も小麦をベースに白い線などが入っていて多様性を表しているように見えます。チョコレートを好きな人も国籍を問わないですよね。ボーダーレスに個性の豊かなみんなが楽しんでいるハートフルな世界、そんなイメージのパッケージかなって改めて思えます。

 

桂川さん:女の子の目はブルーなんですが、人種を意識せず、混ざり合うからこその美しさをイメージしています。統一感がなくて、それがいい。中に入っているチョコレートも各国の豆を使ったものですし。シンプルに“おいしいチョコレートが入っている”BOX、そこがいいなと思いますね。

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!
今回のタブレットBOXを食べたいシチュエーションとは?

チダ:最後に、みなさんがこのタブレットBOXをどういう時に食べたいか教えてください。

 

桂川さん:私は自分が食べるというより、大好きな人たちにプレゼントにしたいですね。コロナ禍で会うことができない友達が世界中にいるので、その子たちに贈りたいです。ベトナムにいるチョコレート好きの友達とか。こういうセクシーな女の子がパッケージのチョコレートってこれまでなかったんじゃないでしょうか。インパクトがあると思いますし、食べ終わったら捨てるんじゃなくて、小物入れなんかにして長くご愛用いただけたらと。

 

深澤さん:アパレルのショップで売ってたらおしゃれだよね。

 

桂川さん:そう言ってもらえたら嬉しい。

 

渡辺さん:僕もプレゼントのようなイメージで、ホームパーティや気の合う仲間と合う時に持っていきたいですね。お酒にも合うと思うのでお酒を持ち寄って、ゆっくり味わいたいです。

 

桂川さん:それは思い出に残りそう、すごく。

 

Mayaさん:私も女子会に持って行って皆で食べたいですね。パッケージもタブレットのデザインもかわいいので写真も撮りたいですし。ひとりで疲れた時にばくばく食べるっていうのはもったいない(笑)。

 

深澤さん:特別な日に食べたいですね。食事の後なんかに、ワインを飲みながら。それぞれのタブレットに作り手のストーリーがあるから、それを話しながら食べるとまた味が違ってくると思う。

 

桂川さん:このタブレットBOXはカンバセーションピースにもなりますよね。ぜひこの記事を読んで味わっていただきたいです。

 

チダ:桂川さん、皆さん、今回はありがとうございました!!

アーティスト、桂川桃子さんとAPeCAがタッグを組んだタブレットセレクションBOXが完成!

 

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