文 : 髙橋恵

写真:齋藤順子

 

私がミラノに拠点を定め、そろそろ30年を迎えようとしています。こちらに住む前は、“イタリア”と“チョコレート”がどうも結びつかず、イタリアのチョコレートといって思い浮かぶのはBACI(バーチ)くらいでした。ころんとした丸い小粒のチョコレート。一粒ごとに同封されたイタリア語と英語で書かれたおみくじ的なメッセージが珍しく、イタリア土産にいただくのを楽しみにしていたものです。

 

しかし実際に住んでみると、ここはチョコレート天国!ちょっと気の利いた店に行けば、カカオの品質、香りや口どけを追求したチョコレート、最高級のヘーゼルナッツを使用したジャンドゥイア、スタイリッシュなファッションデザイナーのガナッシュなどが揃い、素材を際立たせ熟練の技をいかした、「ものづくりにとことんまでこだわってしまう」というイタリア職人気質を反映したチョコレートの宝庫だったのです。

 

また、イタリア人の日常にもチョコレートは欠かせません。冬になると「ホットチョコレート飲みに行かない?」とのお誘いが頻繁にかかり、友人の家にディナーに行けば、食後には色とりどりに包装されたチョコレートが山盛りに出されて、「膨れたお腹とは別腹」とばかりに、カフェと一緒にチョコをモグモグ。あれ、今ドルチェ食べたばっかりだよね?でもつい手が伸びて…。もはやチョコレート天国どころか、ドロドロなチョコレート地獄です。

 

今日は、こんなチョコレートにまみれたミラネーゼの日常に根付く、個性あふれる隠れ家のようなお店をご紹介します。

 

GUIDO GOBINO グイド・ゴビーノ
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!

寒さも厳しくなってくると、女友達から、なぜかちょっと悪だくみをするような声で「ねえねえ、ホットチョコレート飲みに行かない?」というお誘いの声がかかります。そんな時、私達がまず足を向けるのは「グイド・ゴビーノ」。イタリアのチョコレートの聖地、トリノを本拠地とする高級チョコレート「グイド・ゴビーノ」は、日本でもバレンタインのスペシャルイベントなどで販売されているので、ご存じの方も多いのでは?ミラノでは、ブレラ地区に、カフェを併設したブティックがあり、いつも賑わいをみせています。

 

ホットチョコレート(イタリア語では“チョコラータ・カルダ”)は、全4種類。スタンダードな「クラシコ」、ヘーゼルナッツクリーム入りの「ジャンドゥイア」、ダークチョコレートの「エクストラ・ビター」、オレンジ風味のダークチョコレート「エクストラ・ビター・アロマティッザータ・アッラランチャ」。ホイップクリームやチョコチップをトッピングすることもできます。私が気に入っているのは、濃厚な味わいの「エクストラ・ビター」。増粘剤不使用なのに、とろりと濃く仕上がっています。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
ホットチョコレート(6~6.50ユーロ)は、かわいい蓋つきのカップで提供される。

もうひとつのお勧めは「ビチェリン」。トリノ発祥の、ホットチョコレートとエスプレッソ、生クリームが層になった暖かい飲み物です。ここでは、ジャンドゥイアを加えた、オリジナルの「ビチェリン・ジャンドゥイア」も提供。「寒いからカロリー摂らないとね!」と、言いながら飲むのがお約束です。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
甘~くて暖かい悪魔の飲み物「ビチェリン」(5.50~6.50ユーロ)

その他、プラリネ16個やガナッシュ14個を一堂に試せる「デグスタッツィオーネ(お味見)」もあるので、チョコレート好きな方はぜひ!「食べるだけでは飽き足らない。首までどっぷり漬かりたい」という無類のチョコ好き向けには、カカオバターやブラックカカオパウダーを使用したコスメライン「ココア」も販売されています。シャワージェル、ボディローション、ハンドクリームなどがあり、抗酸化作用に優れています。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
カカオ配合の「ココア」シリーズ。ビューティケース入りのセット(45ユーロ)も。

GUIDO GOBINO(グイド・ゴビーノ)

住所 Corso Garibaldi,35 Milano

公式サイト www.guidogobino.it

 

 

OUT OF THE BOX  アウト・オブ・ザ・ボックス
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!

夏のランチがわりに、おやつに、ディナーのデザートにと、イタリア人の生活にジェラートは欠かせません。友人の家に招かれた時のおもたせの王道でもあるジェラートですが、私はちょっと遠回りしてでも、このポルタ・ヴェネツィア地区にある「アウト・オブ・ザ・ボックス」に立ち寄り、ジェラートを調達して行きます。「どこで買ったの?!」と、ジェラートに一家言ある友達にも必ず聞かれて、鼻高々です。

 

この店の、無焙煎カカオを使用したビターチョコレートのジェラートは逸品。ねっとりとした濃厚な質感で、カカオの香りが匂いたちます。ただし、とても溶けやすく、コーンに盛り付けてもらってゆっくり食べると、手にダラダラとたれてくるのが玉にきず。時間との闘いです。エレガントに味わって食べるなら、カップ入りをお勧めします。ペペロンチーノ入りの激辛フレーバー「クルード・フォンデンテ・ペペロンチーノ」は、話のタネに一度は試してみてください。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
ペペロンチーノ入り生カカオジェラート「クルード・フォンデンテ・ペペロンチーノ(左)」と「フラーゴラ(いちご)(右)」。フルーツのフレーバーは、果物含有率が高く、フルーツそのものの味わい。カップ(小)2.90ユーロ。
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
アールヌーボーのパラッツォの中にあり、建築にも注目
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
店外には、座って食べられるコーナーも。

OUT OF THE BOX(アウト・オブ・ザ・ボックス)

住所 Via Malpighi,7  Milano

公式サイト https: //www.facebook.com/outofthebox.gelato/

 

 

TORTATELIER トルタテリエール
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!

ガリバルディ地区のアートギャラリーが立ち並ぶマロンチェッリ通りにひっそりと佇むパスティッチェリア「トルタテリエール」には、家の近所ということもあり通い詰めています。素材にこだわったお菓子は、すべて店内の工房で手作り。個人オーダーのデザインケーキなど、一点ものにも定評があります。私は自分の誕生日に、真っ黒いチョコレートケーキをオーダーしました。

 

毎日30ピースほどしか焼かないという、パン・オ・ショコラとクロワッサンは、静かな争奪戦。クロワッサンには、その場でクリームやジャムを注入してくれます。友人の一人は、ここのパン・オ・ショコラにハマり、朝のジョギング中に30分かけてわざわざ買いに来るほど。

 

チョコレート味のお菓子も豊富で、チュッパチャプスのようなフォルムにガナッシュを包み込んだ「ケーキ・ポップ」、ほんのり塩味が効いた「ビスコッティ・チョコラート・エ・サーレ」など小粒なものから、3種類のチョコレートの層を重ねた「チョコレートムース」など大きなものまで揃います。禁断症状が出るほど私が溺れているのは、バターたっぷりのカカオ味クッキー。一口目はまずバター、そのあとからカカオが口いっぱいに広がるという素敵な一品です。これもよくお遣い物にしますが、贈った方々、皆リピーターとなっています。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
小粒ながらもパワフルな味の「ケーキ・ポップ」
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
ほんのり塩味「ビスコッティ・チョコラート・エ・サーレ」
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
「カップケーキ・アル・カカオ」はダークチョコレートとラズベリージェリーのハーモニー。
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
見逃してしまいそうなほど小さな店。イートインは5席のみ。

TORTATELIER(トルタテリエール)

住所 Via Maroncelli,9  Milano

公式サイト www.tortatelier.it

 

 

MOMO MILANO モモ・ミラノ
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!

下町の風情を残しながらも、近年おしゃれなお店のオープンが続くイゾラ地区にある人気店「モモ・ミラノ」は、セネガル人モモと、イタリア人の奥様マルツィアが経営する、ヘルシー志向のカフェです。

 

フレンドリーな雰囲気で、朝のカフェに、午後のお茶に、アペリティフにと、イゾラ地区散策の前後に友人と気軽に立ち寄ります。セネガル料理や、バオバブの実などのアフリカのフルーツを使ったドリンクなど、ミラノではなかなかお目にかかれない珍しいメニューが揃い興味津々。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
パワーアップできそうなジュースたち。左から、生姜が痺れる「ジンジャー」、ビタミンC満載のハイビスカスベース「ビッサップ」、バオバブベースの「バオバブ・ブーイ」。いずれも5ユーロ。

オリジナルカクテルも数多く、チョコレート好きな人向けにも特製カクテルが!自家製のヘーゼルナッツとチョコレートのペースト、カルーア、ウォッカ、バオバブ、ライムを使った「ヌテッラ・ブンナ・コッコ」は、全くヘルシーではなさそうですが、元気が出ること請け合いのカクテルです。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
チョコレート好きな人のためのカクテル「ヌテッラ・ブンナ・コッコ」(8ユーロ)

ここは「イタリアとセネガルが交流する場所」というコンセプトで、店内には、セネガルの職人による布地や雑貨などを販売するコーナーもあり、ショッピングも楽しめます。

 

手作り感あふれるインテリアもカラフルで楽しい雰囲気。アフリカの風が吹き抜けるような軽やかな空間です。

 

チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
セネガルのグッズ販売コーナー。
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
インテリアとしても使えるカラフルなかごは、人気商品。
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
オーナーのモモ(左)とマルツィア。
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
チョコレート天国イタリア。ミラネーゼの日常に根付くお店をご紹介!
手作り感あふれるカラフルなインテリア。居心地の良さが人気の秘密です。

MOMO MILANO(モモ・ミラノ)

住所 Piazza Minniti,5  Milano

公式サイト https: //www.facebook.com/momofruitbar/?fref=nf

 

 

 

さて、いかがでしたか?

 

今はコロナ禍のため、自由に旅することもままならない状況ですが、収束の暁には、ぜひミラノでチョコレート天国ツアーを楽しんでいただけることを願っています。チャオ!ア・プレスト!

 

 

 

文 : 髙橋恵(Megumi Takahashi)

ミラノを拠点に、ファッション、デザイン、旅をテーマに、ジャーナリストとして活動し、日本、イタリアの新聞や雑誌等に寄稿。イタリア外国人記者クラブ、イタリア国立ジャーナリスト協会所属。

 

写真:齋藤順子 Yolliko Saito

長年に渡り、パリをベースに活躍する写真家。ヨーロッパ、アジア、アフリカで雑誌、書籍、広告の撮影を続けている。パリ、ベルリン、銀座で写真展を開催。日本写真家協会(JPS)会員。