わたし、カカオを仕事にしたい大学生。チョコを作るだけでなく、カカオが担えるもっと色々な役割を求めて静岡で農を学んでいるところ。でも、その”色々”とは何なのか?そのヒントに迫るべく、カカオを取り巻く地域・人の生活や考えを探る旅に出かけた。

 

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編に続く本編は、今回の旅で感じた「やんばるの風土」についてを綴る。

 

 

文・写真:厚味 莉歩

写真:チダ コウイチ(表紙、プロフィール)

カカオ愛農大生のカカオ体験記③ やんばるの風土とOKINAWA CACAO編
田嘉里への帰りの車内から(国頭村)

OKINAWA CACAOで川合さんは経営者であると同時に労働者でもあり挑戦者でもある。それは彼の会社の利益を追求するための判断を改良し続ける姿勢と、日々畑と工房を行き来して体を動かす様子と、地域をよりよくしようと実験し新しい取り組みを生み続けていることから見て取れた。また社員さんは店番や殻取りなど川合さんの作業をカバーすると共に、菓子製造やメニュー開発で新しい視点を提供する。店舗のパートさんも、工房での作業の他に他のメンバーに足りない地元の視点を提供する役割などを担う。

 

それぞれの役割を見ていると、OKINAWA CACAOというチームで一人一人の存在の大きさがとてもよく感じられた。それぞれがいくつかの役割を担いながらも、足りない部分を補いあっているのがとても良い。

カカオ愛農大生のカカオ体験記③ やんばるの風土とOKINAWA CACAO編
沖縄県産カカオを開ける様子(田嘉里)

コロナ禍で大ダメージを受けながらも、止まれないし止まりたくはないと川合さんは言う。沖縄県産カカオは今年はじめて収穫に至り、次は沖縄県産チョコレートを作る目標。沖縄の農業との協働も深まっていきそうだ。毎月新商品も開発しているらしい。田嘉里集落では地元の商業者と協力して朝市が始まった。事業拡大のため新たな社員の採用活動もしている。カカオもチョコレートも、地域との活動も、会社自体も、どんどん変化させ成長させるフェーズにあるようだ。いずれ世界へ飛び出していくため突き進んでいる。

 

東京から単身で移住し、ほとんど無縁だった土地での起業。田嘉里でのある協力者との出会いがカギになったそう。川合さんの目標を応援し、家を貸して地元の人との橋渡しをしてくれた協力者の存在を力に、探り探り自分達で作り上げてきた。

 

 

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カカオを取り巻く地域・人の生活や考えを探ろうと訪れた10日間。やんばるでの体験や出会いを通して感じたのは、やんばるならではの”独特の何か”が、人と人、あるいは人と自然との関係性の隅々にまで染みわたり、作用していることだ。

 

”独特の何か”とは? やんばるに訪れると、那覇とは違う「やんばるに着たんだな」と思わせるどこか独特の空気を感じる。数日滞在すると、気候や植生といった自然だけでなく、パート①で述べた集落やそれを取り巻く土着の文化だったりを目の当たりにする。そうしたやんばるの独特なものをひっくるめて、”風土”と言ったら良いのかもしれない。旅先でこうした”風土”をことさら実感したのははじめてのこと。素晴らしい体験だった。

 

そして今、こうした”風土”に、新しい風が吹き始めている。その土地に根付いた”風土”は変わらないものだろう。けれど、パート②のOKINAWA CACAOでの体験を通して見たものは、やんばるの”風土”の様々なところで新しい風が巻き起こっていること。東京から見ず知らずのやんばるに入り込み、カカオを栽培してチョコレートを作るなんて……言うまでもなく新しいチャレンジそのものだ。実現にはまだまだ苦労が伴う。しかし、やんばるの”独特”な”風土”が、他の土地では生まれ得ない、独自の創意工夫を生み出しているのだ。

カカオ愛農大生のカカオ体験記③ やんばるの風土とOKINAWA CACAO編
南下する帰路。晴れの日の海沿いはいつ見ても広々する。(大宜味村)
カカオ愛農大生のカカオ体験記③ やんばるの風土とOKINAWA CACAO編
シークワーサー、月桃、カラキを混ぜ込んだやんばるを味わえる定番タブレットと泡盛まるたに漬け込んだカカオ豆で作ったチョコレート。(PHOTO:チダコウイチ)

 

他の土地にはどんなものがあるのだろう。そこでカカオはどんな存在なのだろう。更なるカカオの仕事に出会うべく、次の旅が始まった。

 

 

カカオ愛農大生のカカオ体験記③ やんばるの風土とOKINAWA CACAO編

OKINAWA CACAO Factory & Stand

沖縄県国頭郡国頭村浜521

11:00-18:00(火曜定休)

地域を育てる。人を育てる。カカオを育てる。これらを通して地域が自ら地域づくりをしていけることを目指す。カラキ、シークヮーサー、月桃など沖縄でヌチグスイ(命薬)と呼ばれる恵みとともにチョコレートを製造・販売する他、県内2か所でカカオ栽培を行う。

OKINAWA CACAO | Bean to Bar OKINAWA CHOCOLATE

OKINAWA CACAO ONLINE STORE

 

 

文章・写真:厚味莉歩

名古屋出身。静岡大学農学部2年。高校1年でカカオを調べることにハマり、続けるほどに増した愛からカカオと共に生きたいと強く思うように。どこを伸ばせばカカオのためになるか考えた結果、農学で専門家になろうと決めて大学へ。お茶とミカンの静岡で日々農や食や人の営みを学んでいる。

APeCAではコラムニストとして活動後、編集部のインターン記者として本企画を開始。

カカオ愛農大生のカカオ体験記③ やんばるの風土とOKINAWA CACAO編
田嘉里集落にて(写真:チダコウイチ)