わたし、カカオを仕事にしたい大学生。チョコを作るだけでなく、カカオが担えるもっと色々な役割を求めて静岡で農を学んでいるところ。でも、その”色々”とは何なのか?そのヒントに迫るべく、カカオを取り巻く地域・人の生活や考えを探る旅に出かけた。

 

パート① 文化が混じり自然と生きる場所「やんばる」編に続く本編では、沖縄県・国頭村のチョコレートブランド「OKINAWA CACAO(オキナワカカオ)」の皆さんの日々に密着した模様をお届けする。

 

 

文・写真:厚味 莉歩

写真:チダ コウイチ(表紙、プロフィール)

〈試行錯誤のカカオ畑。〉

朝8時半、まずは大宜味村の田嘉里(たかざと)にあるOKINAWA CACAO代表である川合さんの自宅にて集合。川合さんとスタッフさんは店舗の開店準備に取り掛かる10時まで、畑作業やカカオの殻剥きをする。時期によっては集合はもっと早い時もあるらしい。

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
川合さんの家から畑作業に向かう道。畑と民家がまじり、シークヮーサー、サトウキビ、バナナ、パパイヤ、ハイビスカスなどが植えられている。右が川合さん。

草刈り機を持って畑に向かう。畑ではカカオが育つ2棟のビニールハウスと、それらのまわりを露地のカカオとバナナが囲う。夏はすぐに伸びる雑草との戦いで、こまめに刈りに通う。草刈りは川合さん担当。スタッフさんもときどき鎌で参戦する。

 

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
左がカカオのハウス。右にカカオとバナナが植わっているのが見える。

わたしはカカオに水やりをさせてもらうことになった。いつもやっている彼らとの体力の差を体感しつつ、わたしも鍛えたほうがいいなと感じていた。

 

この時期のハウスはサウナみたい。外も太陽で暑いけど、中は湿気でもっと暑い。水やりをしていると、カカオが水を滴らせるのが気持ちよさそうで、自分も水を被りたくなる。ホースを自分に向けたい気持ちを抑え、全ての木に水をやったらひと段落。日陰でちょっと休憩していると、カカオの生を肌で感じて惚れ惚れする。畑作業の合間にさっき手をかけた植物を眺めて息をつく瞬間が大好きだ。

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
カカオのハウス第二号。第一号のハウスよりすっきり大きくなった。

沖縄県産カカオ豆のチョコレートを世に出すため、OKINAWA CACAOの皆さんは次々に現れる課題を1つずつ解決しようと日々奮闘している。例えば、初めて作ったお手製のハウスはカカオにとっては窮屈だったが、ハウス2号は十分に大きくしたそう。木の間隔も広がって形も良くなって、前よりずっと元気そう。より多く実らせるために知り合いの農家さんたちから情報を聞き取ったり、ハウスの端に畑を作ることで害虫に対抗する天敵を育てたり、試行錯誤の連続なのだそうだ。

〈沖縄県産カカオ豆。〉

カカオ豆の殻を剥いて取り除くのも朝の行う大切な仕事だ。大体は機械で分離出来るのだけど、除ききれなかった分は時間をかけて手でちまちま取っていく繊細な作業。

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
ボウルを振ってドライヤーの風で軽い殻だけを外に飛ばしている川合さん。
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
取り残した殻を手で剥いていく社員さん。

ちなみに川合さんは殻取りがあまり好きではないらしい。経営もカカオ栽培もチョコ製造もお客さん対応も、常に仕事がたくさんの中で殻取りに何時間も費やしていられない気持ちはすごくわかる。そこは社員さんがカバーしているようだ。

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
田嘉里の畑で今年採れたカカオ豆。

OKINAWA CACAOさんが5年かけて大切に育ててきたカカオだが、収穫できたのは今年が初めてなのだそう。わたしは、そんな貴重な沖縄県産カカオ豆の殻剥きを手伝わせてもらった。収穫時は2㎏あった豆は発酵・乾燥を経て200gに。豆が薄くなって殻がたくさん残るが、大変さの中に愛おしさがある。どんなチョコレートになるのだろうかとワクワクだ。

〈やんばるのチョコレートスタンド。〉
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
左が工藝店、右が工房兼チョコレートスタンド。建物内は繋がっていて、交流も多い。

畑仕事や殻取りが終わると車に乗って国頭村の浜にある店舗へと移動する。工藝店の建物の一角がチョコレート工房で、外がお店のカウンター。一人ずつ丁寧にお客さん対応をする。中ではチョコレートや焼き菓子やドリンクを作ったり包装を用意したりと、チョコレート店の日常業務だ。

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
お客さんに商品の説明をするスタッフさん。頭上の装飾は田嘉里産のカカオポッドで作られた。
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
工房でチョコ作り。期間限定の「泡盛まるた」のチョコレート作りは工房にいるだけで酔いそうだ。
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
川合さんがいると、工房でお昼を作ってくれることも。工房で一緒に食べながら休憩する。
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
スタッフさんたちとチョコをつまんで小休憩。

ゆるくて和やかな空気が心地よい。近くも遠くも色々な場所からお客さんが来る。OKINAWA CACAOに来るお客さんはバラバラの場所の人のはずが、なぜだか似た空気を感じるのが面白い。

〈夜、人と人の繋がりを一歩深める場。〉

お店を閉めた後、さらに仕事をして倒れるように寝ることもあるが、コロナ前は地域の生産者と食べて飲んで交流を深める場も作っていたらしい。遠くからやってきたお客さんが新しい情報や機会を持ち寄ってきてくれることもあるそうだ。わたしも小さな交流会に入れてもらった。楽しくごはんを食べながらお互いを知ったり新しいことを計画したり課題を相談し合ったりと、和やかで熱い時間だった。

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
OKINAWA CACAOを運営するローカルランドスケープのメンバーとプリンタイム。
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
シークヮーサーピールのチョコレート(PHOTO:チダコウイチ)
カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編

OKINAWA CACAO Factory & Stand

沖縄県国頭郡国頭村浜521

11:00-18:00(火曜定休)

地域を育てる。人を育てる。カカオを育てる。これらを通して地域が自ら地域づくりをしていけることを目指す。カラキ、シークヮーサー、月桃など沖縄でヌチグスイ(命薬)と呼ばれる恵みとともにチョコレートを製造・販売する他、県内2か所でカカオ栽培を行う。

OKINAWA CACAO | Bean to Bar OKINAWA CHOCOLATE

OKINAWA CACAO ONLINE STORE

 

 

 

文章・写真:厚味莉歩

名古屋出身。静岡大学農学部2年。高校1年でカカオを調べることにハマり、続けるほどに増した愛からカカオと共に生きたいと強く思うように。どこを伸ばせばカカオのためになるか考えた結果、農学で専門家になろうと決めて大学へ。お茶とミカンの静岡で日々農や食や人の営みを学んでいる。

APeCAではコラムニストとして活動後、編集部のインターン記者として本企画を開始。

カカオ愛農大生のカカオ体験記② 「OKINAWA CACAO」でのお仕事編
田嘉里集落にて(写真:チダコウイチ)