5000年以上の歴史を持つカカオ。そんなカカオの未来を、世界中のパートナーとともににクリエイトしていくプラットフォームとして2019年、APeCA(アペカ)は誕生しました。

 

高い芸術性を持つ「食の嗜好品」として、世界中で愛されてきたチョコレート。そして、その原材料であり文化的価値と芸術的可能性を秘めているカカオ。APeCAはカカオにまだ見ぬ大きな潜在力を感じ、さまざまなアプローチからのコラボレーションやイベント開催を通じて、その可能性を深掘り、発信しています。

 

今回の「Art to Eat」特集企画にお招きしたのは、ご存じ、アマゾン料理人こと太田哲雄さんに、Idea Podにも作品をご提供いただいたアーティストの荻野夕奈さんと久保田沙耶さん。シェフやアーティストとしての多角的な視点で、あらためてカカオの潜在力について語っていただきました。

 

文:皆本 類

写真:室岡 小百合

企画・モデレーター:新井 まる

■インスピレーションとしてのアート、身近でミステリアスなカカオ

――APeCAも創刊から1年以上経ちました。今回は、カカオやチョコレートにまつわる体験や、ご自身のクリエーションについてお話を伺っていきたいと思います。最初に自己紹介と、カカオとの関わりについてお話しいただけますか?

 

太田哲雄さん(以下、太田):私は料理人で、長野・軽井沢でラボ兼レストランを営みながら、ペルーから「アマゾンカカオ」と名付けたカカオを日本に輸入しています。自分でも料理やお菓子の材料として使ったり、シェフやショコラティエさんに、カカオを卸す仕事も行っています。

 

19歳でイタリアに留学してから10年以上、世界各地で料理人生活を送ってきました。その後、南米の食文化や、世界中の食材のうち70%もの原種を有するという地域性に興味を持ち、アマゾンを訪れるようになりました。そのなかで、無農薬栽培のクリオロ種を育てるカカオ村に行ったのがカカオとの出会いです。

 

現地のカカオの丁寧な育て方に感動した一方、村の人が作ったチョコレートを試食して、多くの知見を持つショコラティエたちと現地の人が同じ土俵で勝負をしても勝てるわけがないと感じました。

 

カカオを単にチョコレートに加工するだけでなく、カカオそのものを一つの食材として活かすことができないか。そうすれば、この村をもっと豊かにすることができるんじゃないかと思ったんです。そこで、自分が直接カカオを買い付けて国内外のシェフに卸すフェアトレード・ビジネスを開始したんです。

カカオとアートとクリエーション
太田哲雄シェフ

――太田さんの料理人として、カカオにクリエイティブに向き合う姿勢がまるでアーティストのようだと感じます。アートに関する関心はいかがですか?

 

太田:子供の頃からアートは好きでした。そもそもイタリアに留学したのも、料理人になろうと思ってのことではありません。最初は、純粋に現地のおいしいもの食べたり、本場のアートを鑑賞したいという思いがありました。後に南米に行ったのも、ブラジルの写真家のセバスチャン・サルガドへの興味がきっかけとしてあります。

 

ヨーロッパ時代は、とにかくアートとの距離が近かったですね。アーティストと一緒に家をシェアして暮らしていた時期も長かったし、働いているレストランにも著名なアーティストが数多く訪れていました。店内にもアートがたくさん飾ってある環境なので、同僚たちとの会話も自ずとアートに関することが多かったですね。

 

料理人だからといって、365日食べ物の話ばかりしているわけではありません。私の周りではむしろ他の話題の方が多かったですね。料理について、アートを含め、さまざまなことからインスピレーションを受けるということはごく当たり前のことでした。

 

 

――アーティストである荻野さんと久保田さんには、カカオをお題に創造・創作していただく「Idea Pod」のコーナーにご登場いただきました。おふたりは、東京芸術大学大学院の同じ研究室に在籍にされていて既知の仲になるそうですが、あらためて荻野さんから自己紹介をいただいていいですか?

 

荻野夕奈さん(以下、荻野):私は子供の頃から絵を描くのが好きで、高校から美術を学び芸大に進学しました。インスタレーションや映像制作などにも取り組み、最終的に行き着いたのが油彩です。主に植物や小さな生き物をモチーフにする画家として活動してきました。

 

その過程で教育活動や子供の出産・育児なども並行しながら、2018年のインドネシアでの滞在製作や海外での作品発表を経て今に至ります。チョコレートに関しては、「Idea Pod」でも書かせていただいたように、毎日食べたいくらい好きなものです。

 

絵を描いているときに集中しつつ、こまめに休憩をとるようにしています。製作中の作品から少し下がって頻繁にバランスを見ながら休むのですが、そのときよくチョコを食べるんです。大きいチョコだと太るから、小さい一粒をほんの少しずつ。

カカオとアートとクリエーション
荻野夕奈さん

荻野:今回カカオをお題に絵を描くためにカカオについて調べるなかで、チョコはとても身近な存在なのに、その原材料のカカオという植物については、全く知らないことに気がつきました。Webで検索したカカオの花を見て一番驚いたのは、その小ささ。白くてかわいらしいのが印象的で、本当は小さい花を作品ではつい大きく描いてしまいました。

 

カカオとアートとクリエーション

▲ 《カカオの実と花と葉》荻野夕奈さんのIdea Pod より

 

 

久保田沙耶さん(以下、久保田さん):私は……、「現代美術家」と呼んでいただいても、なんでも嬉しいのですが、正直自分では肩書きの居所を見つけられていなくて。すきま産業のようなことをしているといつも言っています。夕奈さんと同じ研究室は油絵科だったのですが、私は当時、油絵は一枚も描きませんでした(苦笑)。

 

現在は、考古遺物に手を加えた作品や、ガラスで積層させたドローイングを制作したり、様々な場所に滞在制作をすることで土地と郷土文化と人から立ち上げたプロジェクトめいたものをつくったりとさまざまです。

カカオとアートとクリエーション
久保田沙耶さん

久保田:現在の創作活動の原点は、土器片や考古遺物の欠片が頻繁に出土する地域に育ったことにあります。畑の隅に農家さんにとっては不必要な考古遺物のかけらが転がっているのが普通の光景で、私もよく拾って持ち帰り、家や通学路で触ったりしていました。だから、古いものが古いという理由だけで短略的に価値づけをされ、ガラスケースに入れられて博物館に展示される風景に、ちょっとした違和感がずっと続いていました。

 

それで、それに対して私が唯一「価値」を確かめられる方法として、その「古いもの」自体を一度壊してみたり、再構築してみたりするようなことを試してみて、どうなるのか色々な人と考えたりひとりで見つめたりすることがあります。

 

それが美術の領域では許されているというか、やりやすいので、とても助かっています。その一環で、イギリスにリサーチレジデンスアーティストとして「ヒストリカルカービング(歴史的な装飾物などに現代の感覚を反映させ、新たな造作を与える特殊な修復技法)」を学びました。

 

実は私、チョコレートはずっと苦手でした。舌が祖父と父親譲りの辛党で、酒の肴が大好きなんです(笑)。ただ、ここ2年ぐらい眠気覚ましのためにコーヒーを飲むようになってから、それに合わせてチョコもよく食べるようになりました。

 

そういうわけで、チョコレートとの距離感はまだ近づき始めたところです。ですから、今回いただいたカカオというお題に誠実に向き合うには、チョコレートの美味しさというよりも、私の場合は「バレンタインの思い出」という、超個人的で身近なことから紐解いていくしかないと思ったんですね。

 

それで「バレンタイン」を入り口に、カカオやチョコレートについてさまざまリサーチする中で、きらびやかな行事へのイメージとは対照的に、カカオには根深い問題も数多く残されたままだということを知りました。カカオ生産における奴隷労働や児童労働、不安定な豆の市場価格による農家の打撃といった問題が今でも残されているんですね。

 

青春の中で味わってきた日本のバレンタイン最盛期とも呼ばれるかもしれない時代を、同じチョコレートであるにも関わらず、この機会に違う角度からみることで、過去がかなり多面的なものになりました。

カカオとアートとクリエーション
取材日は、研究室を卒業して約10年ぶりの再会だったというおふたり。学生時代の思い出にも花が咲いていました

――おふたりとも、チョコレートやバレンタインという行事は身近な存在でありながら、原材料となるカカオについては知識がないというギャップを持たれたんですね。

 

太田:カカオが日本の私たちのところまでチョコレートとして届くまで、いくつもの場所と加工を経ているので、カカオという植物や生産者への理解にリアリティがないのでしょう。チョコレートの世界って臭いものにフタをし続けてきた歴史です。現地の人たちが安くカカオ豆を買い叩かれ、低賃金で働く。そして出荷後は高級チョコレートになり、ヨーロッパだけが潤うという構造が現在もあるんです。

 

自分のところで扱うカカオを「アマゾンカカオ」と名付けたのも、「このカカオは南米アマゾンで育ったものなんだ」という気づきを消費者に持ってもらうため。意識されることで生産者や原産国に対するリスペクトが生まれ、少しずつ何かが変わっていくと思っています。

■チョコレートを食べて、自分で“トキメキ”をつくる

――先ほど太田さんのお話で、アートがお料理のインスピレーションになっているというお話がありました。荻野さんが製作中に食べられるというチョコレートも、インスピレーションの源になっていたりするのでしょうか?

 

荻野:私がチョコを食べるのは、シンプルにエネルギー補給という意味もあるのですが、もしかしたら“トキメキ”を生むためかもしれません。というのも、ひとりで絵を描いているときって結構殺伐としていて……(苦笑)。「楽しそうに描いてる」と言っていただくことも多いのですが、実際にはものすごく頭を使うし消耗するんです。いつまで経っても作品を発表するのは怖いという想いがあるので、精神的にも疲労感があります。

 

それでも、やっぱり絵は一筆一筆にトキメキがないといけない。感動を生む作品にするには、決して“作業”になってはいけなくて、本当にこの一筆にすべてがかかっているという意識で常にいたいと思っています。ただ、ライブペインティングのように、人に見られながらだったら気持ちを持続しやすいんだけど、ひとり孤独な空間だとそれが難しくなります。

 

特に締め切りに追われていると、どうしても「早く仕上げたい」と思ってしまって、余裕がなくなってきます。そんなときに、チョコの1粒が結構大事で。値段は安いものでも、毎日違うチョコを「今日はこれを食べよう」と選んでいる瞬間は、トキメキを自分でつくってるような感覚です。無意識にチョコレートからインスピレーションをもらってるのかもしれませんね。

 

 

――チョコレートを食べることで、「癒し」や「贅沢さ」といった精神的豊かさをイメージされる方も多い気がします。

 

太田:チョコレートを食べるとリラックス効果があると言われていますね。医学的見地からも動脈がひらいて、血行がよくなるという話もあります。それに、あの香りがいいのではないでしょうか? 料理人として1日中カカオを食材として扱っていても、魚やチーズのように匂いが気になることもありません。以前、そんなにチョコレートの香りにポジティブな効能があるのならばと、「カカオストーブ」を作ってみたことがあります。

カカオとアートとクリエーション
アーティストのような創造性でカカオに向き合う太田シェフの話は発見の連続です

――カカオストーブ気になります! どうやって作るのでしょう?

 

太田:灯油にカカオハスク(カカオの皮)を漬け込んで燃やすんです。ハッピーな気持ちになりながら、暖をとれるなんて最高じゃないですか。

 

一同:面白そう!!

 

太田:カカオの使い方って、「食べる」ことに限らなくていいと思うんです。以前、服作りをしている人に、カカオの殻を煮出したものを送り、染め物に使っていただいたこともあって。淡い色合いの洋服になりましたよ。他にも、カカオには抗菌効果があるので、左官屋さんに頼んで壁に塗り込んでもらったらカビがしなくなるかもしれない、なんて思ったり。

 

先ほど、久保田さんがイギリスで修復技術を学ばれたというお話がありましたが、たとえば絵画作品が劣化しないように、チョコレートでコーティングするというアイデアだってありえるかもしれません。チョコレートは腐らないから。もし腐ったとしても、それは乳脂肪分の部分です。それぐらい垣根なく、自由な発想をしていきたいんですよね。

■「チョコレート」のマテリアルとしての強度
カカオとアートとクリエーション
カカオとアートとクリエーション

久保田沙耶さんのIdea Pod より

 

――久保田さんの「Idea Pod」の作品は、おもちゃの指輪を、湯煎したチョコレートに落とし、冷蔵庫で冷やして固めたものを撮影した写真と、ご自身の幼少期の体験をめぐる文章で構成されています。鑑賞して直感的に、心が切なく掴まれるような印象の作品でしたが、製作過程ではロジカルなリサーチを重ねられたそうですね。

 

久保田:そうですね。今回の作品は、4歳から14歳までのバレンタイン、とある男の子と10年間チョコの贈り合いを続けた実体験を起点にしています。「あの10年間は一体なんだったのだろう」と。人と人とがめぐり会ったときに湧き起こる好意の感情って、本当は言葉にならない、とても曖昧なものなはず。

 

それが、バレンタインにチョコレレートを「渡す/渡さない」ことよって、良い意味でも悪い意味でも「好き/嫌い」という型に当てはめられていく。そこにチョコレートを型に流し込むときが、感情を分化するときと似ているなと思うようになって、掘り下げていくこととしました。

カカオとアートとクリエーション
久保田さんの今回の作品のための創作メモ。ページにびっしりとアイデアやリサーチの内容が綴られています

久保田:もしバレンタインという行事がなかったら、あのときに感じた気持ちはどうなっていたんだろうと考えたときに、もう少しきめ細やかに自分の体験をほぐしたくなりました。そのためにまず、カカオの歴史やバレンタインの起源などをリサーチしていきました。

 

普段からリサーチはできるだけ丹念に行うようにしています。自分の主観性や一時的な感覚にだけ頼っておこなう創作活動は、いつも現実のリアリティの深みと強さに負けてしまうという体験を何度かしたからかもしれません。

 

言葉や概念になる前の未分化な状態のものを、イメージとしてすくい取るのが私のできるアーティストとしての仕事のような気もしているので、可能な範囲でなるべくそのテーマを取り巻く現実を知ることからはじめるようにしています。コンセプトやステートメントの言語化も含めて、現実を突き詰めていけばいくほど、作品がドラマチックさやノスタルジックさを超えて、強度を増していくことができるような気もしていて。

 

当初、今回の作品にもしかしたら写真やイメージはなくてもいいかもしれないと思っていました。ですが、きれいに型どられた市販の板チョコレートが湯煎されて液体になっていく様は、これまで自分が頼ってきたわかりやすい名前や形式さえも溶かしているようで、なんだか儀式のように思えました。そのときチョコレートというマテリアルと今回のテーマが重なったので、最終的には写真も作品の一部として掲載することができました。

 

 

――荻野さんと太田さんは、制作における感覚とロジカルの割合はいかがですか?

 

荻野:(久保田さんの)お話を聞いていて、私は制作の中で感覚に依るところが大きいんだなぁと感じました。制作においては感覚だけではなく、とくにデッサンやものの描写、光の入り方や影の付け方などはロジカルに考えます。色彩や構成も一通りロジカルに学んでいるけれど……。究極は、少なくとも自分は感覚的にときめくものをつくりたいという想いが強いです。

 

太田:私はできればすべて感覚的にいきたいと思っているんですよね、その方がハッピーですから。ただ、料理教室をやったり、学会のような意見発表の場にいることも多いので、そういうときに自分の感覚を説明するためにロジカルをツールとして使っています。ロジカルに説明した方が理解しやすい人はいますから。

■現地を知ると、クリエーションの質が変わる

――今日の収録場所であるスペシャリティーコーヒー「カフェ・ファソン」さんではアマゾンカカオを使用した自家製スイーツ「エアリーショコラ」を提供されています。今回、皆でいただきましたが、軽い口当たりの中に、マゾンカカオならではのフルーティーな風味が感じられてとても新鮮でした。

 

荻野:ビジュアルからは想像もつかないようなふわっとした食感!本当にいくらでもいただけそうです。

 

久保田:辛党の私でもどんどん食べ進められます。今日は素敵な取材ですね(笑)。

 

太田:オーナーで焙煎士の岡内賢治さんとは数年来のお付き合いです。店舗へのコーヒー豆卸も多数手がけられていて、そのお店の料理やデザートに合うオリジナルのブレンドやロースト度合いを決めるなど、さまざまなお店とコラボレーションされています。カカオとコーヒーはどちらももとは同じ果実ですから、本来とても合うもの。岡内さんはコーヒーとの相性を考えたうえで、アマゾンカカオの魅力を引き出してくださっていてうれしいです。

カカオとアートとクリエーション
早い時間に売り切れてしまうこともあるという「エアリーショコラ」。軽やかな食感を出すためには、「生地を混ぜすぎない」ことがポイントなのだそう。この日は、フェスパ農園のウィルダー・ガルジアさんの豆を使ったコーヒーと共にいただきました。

――以前、APeCAにご登場いただいた際のインタビューで、「パティシエやショコラティエでも、カカオをクーベルチュールとしてしか捉えていないのか、フルーツとしてのアプローチをしているかで、発想が変わる」という太田さんの言葉が印象的でした。このメニューは、フルーツとしてのアプローチを確かに感じます。

 

太田:そうですね。クーベルチュールとして使うとしても、実際にそのカカオ産地を訪れて育て方を学び、理解したうえで作ると、味のスケール感が広がります。これはカカオに限らず、野菜やフルーツを扱う料理人やパティシエすべてに言えること。やはり現地を見ないといけないと思います。きっとアーティストも同じなのではないでしょうか。現地を見た前と後では、作品の質は変わるはずです。

 

荻野:インドネシアに行って、植物がすごいエネルギッシュでカラフルなのが印象的で。現地のペインターの描く絵がビビッドなのが、とても腑に落ちました。自分の作風も影響を受けて、パステル調からよりコントラストが強くなり、ダイナミックになったように思います。

 

久保田:ゼロからイチをつくるのがアーティストだとよく言われますが、真っ白なキャンバスを渡されても私はきっと何も描けません。今は作品をつくるために場所を移動し続ける日々を送っているといっても過言ではないくらいフーテンな暮らしをしていますが、土地からもらうインスピレーションは大きいですね。

 

 

――3人のクリエーション観をお伺いし、思わぬ類似点や微細なスタンスの違いが興味深かったです。最後に、太田シェフからアーティストのお二人それぞれに、おすすめのカカオ・チョコレートの食べ方をお聞かせいただけますか?

 

太田:荻野さんには、制作中のトキメキのためにチョコレートを食べられているということでしたが、たとえばアトリエにチョコレートファウンテンを設置して、好きな食材を付けて食べられてみるのはどうでしょう? フルーツであればカロリーも気にならないですし、チョコレートの香りが部屋中に広がってリラックスして制作が進むかもしれませんよ。

 

荻野:すごい、その発想はありませんでした(笑)!

 

太田:久保田さんは、もとは甘いものが得意でないそうなので、ミント味のホットショコラはいかがでしょうか。新鮮なミントの葉にお湯を注いだものにカカオを入れたら、ミントチョコのような味わいになります。目が覚めるような風味で眠気覚ましのリフレッシュにもなるかもしれません。

 

久保田:おしゃれ! いつも眠くてしかたないのでやってみたいです。

 

太田:ミント以外にも、レモンバームやローズマリーでやっても面白いかもしれません。おうちにおじゃまするときの手土産に、果物やフレッシュなハーブを持っていくなんて展開もあったら楽しいですね。

 

アマゾンに行くようになって実感したのですが、カカオを原産する地域の人々は、チョコレートに対してフラットな視点を持っていて、特別なものと思っていません。カカオがチョコレートとして日本にやってくるまで、たくさんの経由や加工を経ているため、どうしても神秘化されがちな側面があります。以前、現地の人がチョコレートで絵を描くのを見たことがありますが、日本でももっと自由な気持ちでカカオやチョコレートを楽しめたらと思いますね。

 

 

PROFILE

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太田 哲雄

1980年、長野県北安曇郡白馬村生まれ。19歳でのイタリア留学をきっかけに料理の道へ。日本での修業後、スペイン「エル・ブジ」、ペルー「アストリッド・イ・ガストン」など、街場から星付きの名店、セレブのプライベートシェフなど通算11年の料理経験を積む。その後、現地の食文化を学びに入った南米・アマゾンで、無農薬栽培のクリオロ種を育てるカカオ村に出会う。以降、直接カカオを買い付けて国内外のシェフを卸すフェアトレード・ビジネスをスタート。これまでの経験は書籍に、アマゾンへの旅の様子はドキュメンタリーDVDにもまとめられている。2019年8月には長野・軽井沢に自身のラボ兼レストラン「LA CASA DI Tetsuo Ota」をオープン。現在は長野の食材を使った料理作りやアマゾンカカオの普及、企業の商品コンサルティングなど幅広い活動を続けている。

 

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荻野 夕奈

アーティスト、画家 1982年東京生まれ。東京芸術大学大学院修了後、アーティスト活動を始め、国内外で絵画作品の展示を行っている。アートやデザイン、美術教育事業を行うStudio Zugaを設立。 主に植物や小さな生きものをモチーフにした油彩作品を制作している。趣味はホットヨガと熱帯魚の飼育、陶器のプランターを作ってガーデニングなど。

 

オフィシャルサイト:http://yuna-ogino.com/

 

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久保田 沙耶

アーティスト。1987年、茨城県生まれ。筑波大学芸術専門学群構成専攻総合造形、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修士課程修了、同博士号取得。日々の何気ない光景や人との出会いによって生まれる記憶と言葉、それらを組み合わせることで生まれる新しいイメージやかたちを作品の重要な要素としている。焦がしたトレーシングペーパーを何層も重ね合わせた平面作品や、遺物と装飾品を接合させた立体作品、さらには独自の装置を用いたインスタレーションなど、数種類のメディアを使い分け、ときに掛け合わせることで制作を続ける。個展「Material Witness」(大和日英基金)や、アートプロジェクト「漂流郵便局」(瀬戸内国際芸術祭)など、多数参加。

 

オフィシャルサイト:http://sayakubota.net/

コレデ堂:http://corededo.sayakubota.net/

漂流郵便局:https://ja.wikipedia.org/wiki/漂流郵便局

 

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新井 まる

イラストレーターの両親のもと幼いころからアートに触れ、強い関心を持って育つ。大学では文化人類学と経営経済学を学ぶ。在学中からバックパッカーで世界約50カ国を巡り、美術館やアートスポットなどにも足を運ぶ旅好き。広告代理店、アパレル会社勤務の後、2013年に独立しアートを身近に楽しむためのwebマガジン「girls Artalk」を立ち上げる。現在は「ARTalk(アートーク)」と改名し、ジェンダーニュートラルなメディアとして運営中。メディア運営に加え、アートを切り口にした企画・PR、コンサルティング、教育プログラム開発などを通じて、豊かな社会をめざして活動中。

Instagram: @marumaruc

 

 

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