文・構成:藤井志織

写真:チダコウイチ

 

ブランドの企画をお手伝いしたり、商品開発やコンセプトにアドバイスしたり。いわゆる“ブランディングディレクター”という仕事をしている佐藤香菜さん。主にビューティーやウェルネスの分野で活躍していますが、趣味のお菓子作りや旅、愛してやまない民族衣装のことなどを綴ったインスタグラムのアカウントも大人気。

そんな佐藤さんの仕事や趣味に共通することといえば、ものづくり、という要素。

「幼少の頃から既成のおもちゃではなく、素材で楽しむことを教わってきたからか、とにかく”ものづくり”が好きなんですよね。ブランドのディレクションも私にとって”ものづくり”だし、お菓子を作るのもそう。ヴィンテージショップや旅先で少しずつ集めている世界の民族衣装も、手の込んだ刺繍やアップリケといった手仕事に惹かれているんです」

最近は、ブランディングディレクターという肩書きもあらため、“種を蒔く人”としようかなと考えているとか。

「ゼロからスタートして、企画などの種を蒔いて、クライアントと一緒にじっくり育てていき、収穫するまでに携わる仕事という意味を込めて。伝わるかな(笑)」

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

そのためにアンテナの感度を上げて、物事の本質を見極めることを意識している佐藤さん。そうした日々のなかで出会った本質的な商品のなかで、カカオに関わるものやことを見つけては、APeCAでご紹介するのがこの連載。第1回は今話題のCBDとカカオの関係についてお伝えしましたが、2回目となる今回、ご紹介するのもまた、耳慣れない「カカオニブ発酵エキス」という商品。

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

「カカオニブ発酵エキスなんて、聞いたことがないですよね。百貨店のウェルネスコーナーのイベントに出展していたのを見かけて、いったいどんな味なんだろうと買ってみたんです。見た目は薄い茶色でカカオの甘い香り。炭酸で割って飲んでみたら、これがすごく美味しくて! サワーのような、お酒のような、ほんのり酸味があってさっぱりしてるんです。すっきりとした甘さで、食中酒にも良さそう」

瓶に貼られたラベルを見てみると、販売者は〈スーパーフーズトレーディング〉で、製造元は〈ジャフマック 天然酵母研究所〉と書かれています。天然酵母研究所だなんて面白そう!ということで、突撃取材させていただくことになりました。

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

さて、〈天然酵母研究所〉が工場を構えるのは千葉県の長生郡。東京から車で1~2時間という場所ながら、田んぼや雑木林が点在する自然豊かな場所。いざたどり着いた工場は、甘酸っぱいカシスの香りでいっぱいでした。

「カカオニブを発酵させているときは、カカオの香りになりますよ」と工場長。

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

「ここではカシスを始め、りんごやみかん、梅、生姜、カカオニブなどを発酵させて商品を作っています。発酵させることで保存性が高まり、栄養価が高まり、味もおいしくなる。発生した酵母菌は腸内で善玉菌のエサになり、体の免疫力を高めてくれる……と、いいことづくめなんです」

発酵とは、酵母などの微生物の働きによって、野菜や果物の糖質やタンパク質、デンプンなどを分解して、新たに体にとって良い成分が作り出されること。その発酵には、素材の持っている菌の力と、環境、そしてタイミングが大切なのだとか。発酵させる作業としては、まず素材を水で洗い、水や糖分を加えて攪拌しながら、発酵を促します。

「だいたい32度が発酵に最適な温度です。段階ごとに酵母菌の数を検査し、合格したら次の段階へ移ります。菌は生き物だから、素材の持つ糖分や果汁の量などによって、発酵の様子も毎回変わります。だからその都度、試作は欠かせません」

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

そして無事に発酵が終わると、布で濾して発酵エキスを絞りとります。

「意外と原始的な製法なんですね」と佐藤さん。カカオニブの場合も、発酵の手順はほぼ同じ作業だとか。

「ただしカカオニブは油分があって発酵もゆっくりだし、素材が細かいのでざるにあげて手作業で漉すため、カシスの2倍くらいの時間がかかります」

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

カカオニブはカカオ豆を砕いたあと、皮を取り除き、豆の胚乳部分だけとなったもののこと。カカオポリフェノールやテオブロミン、オレイン酸といった有益な成分が含まれている魅力的な素材ではあるものの、カカオは一度発酵してから出荷されているため、カカオニブを再発酵させるのは簡単なことではありません。それが成功したのは、〈天然酵母研究所〉の熟練した技術と、積み上げてきた研究の賜物。

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

「最初はうまく発酵しなかったんですよ。カカオは水分が少ないし、外国の知らない菌がたくさんついていることもあって、コントロールが難しくて。でも何度かチャレンジして、糖度やpH(ペーハー)を調整して、半年くらいかけて成功しました」

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

このカカオニブ発酵エキスを企画した〈スーパーフーズトレーディング〉は、自然本来の栄養成分を含み、余計な添加物は一切含まないスーパーフードを提供しているブランド。カカオニブを使うならと選んだのは、ペルー産のクリオロ種でした。あらゆる産地のカカオニブを試した結果、いちばんおいしいと感じたものだったそう。ただしクリオロ種は、世界の主流であるフォラステロ種やトリニタリオ種といった一般的なカカオニブに比べて、ほぼ2倍の価格がするくらい希少で高価なもの。

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

「正直、コスト度外視の商品です。そんなクリオロ種の有機カカオニブをメインの素材として、甜菜糖や甜菜糖オリゴ糖蜜、はちみつ、レモン濃縮果汁を加えて作っています。保存料も添加物もいっさいなしの、原料も酵母も自然のものだけを使ったスーパーフードです。より香り高くなるように、製造工程の最後に有機カカオパウダーを加えているのもポイント」と〈スーパーフーズトレーディング〉代表の山島丈明さん。

カカオニブというと、一般的にはローストしたものが出回っていますが、〈スーパーフーズトレーディング〉がこだわったのは45度以下という低温で乾燥・殺菌したもの。

「低温で加工することによって、えぐみや渋みがマイルドになり、ほのかな酸味やフルーティーさといったクリオロ種の良さが際立つんです」

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

最近はカカオニブの認知度も上がってきたとはいえ、どう食べていいのかわからないという人も多いのでは?

「私、実は美容や健康にいいだけでは、そんなに興味が持てないんです。ちゃんとおいしいものじゃないと買わない。だからカカオニブも、体にいいとは知っていたけれど、そんなに好きじゃなかったんです。ところが、このカカオニブ発酵エキスは本当においしくてハマりました。カカオがフルーツだったことを思い出す、やわらかな酸味がいいですよね」と佐藤さん。

ちなみに発酵したカカオニブはほろりと柔らかくなって、そのまま食べても美味。発酵の力は、なんとも偉大です。それをさらにてんさい糖で洗い、乾かしたものも「発酵クリオロカカオニブ」として販売しています。クリームチーズやカマンベールチーズにもよく合うとのこと。

 

オーガニックなものづくりに携わる”種を撒く人”、佐藤香菜が探る、おいしくてヘルシーなカカオニブ発酵エキスとは。

「この発酵エキスなら、炭酸で割ってもさっぱり飲めるし、豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクといったプラントミルクで割ってカフェラテのようにしてもおいしい。カカオニブに興味がある人は、これから始めるのもおすすめですね」

 

ひと口飲むと、敏感な人はポリフェノールが血管を広げてくれるので、かーっと暖かくなる人もいるよう。炭酸で薄めるならば5倍ほどの希釈で。プラントミルクで割る場合は、2倍くらいがおすすめ。ぜひ、お試しを。

 

 

 

スーパーフーズトレーディング

「自然のチカラで健康を」をコンセプトに、自然本来の栄養成分を含有し、余計な添加物は一切含まない、高品質なスーパーフードを提供している。

https://www.super-foods-trading.jp

 

 

天然酵母研究所

醗酵カシスを始めとする天然酵母を使用した発酵飲料や発酵食品の開発・製造を行っているメーカー〈ジャフマック〉の研究部門。酵母やカシスに関する研究や商品開発を行っている。

https://tennenco-bo.jaffmac.co.jp/lab/

 

 

 

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PROFILE

佐藤香菜

ブランディングディレクター。オーガニックコスメ&フードショップの立ち上げとディレクションを経て、多数の企業のコンサルティングに関わるフリーランスに。世界中の魅力的なオーガニックコスメやフード、サスティナブルな雑貨を求めて旅する様子は、TVの密着番組や雑誌、本人が実体験に基づく言葉で綴るインスタグラムなどで発信されている。

Instagram: kana_sato622

 

 

文:藤井志織

出版社勤務を経て、現在はフリーランスとして、主に雑誌や書籍、WEBで編集・取材・執筆を行う。料理やインテリア、生産者取材、インタビューなど、ライフスタイルに関わる仕事が多い。イベントや商品の企画・ディレクションを行うことも。担当した書籍に、草場妙子著『TODAY’S MAKE BOOK 今日のメイクは?』、オカズデザイン著『マリネ』、ウー・ウェン著『丁寧はかんたん』などがある。

Instagram: fujiishiori1979